「和薄荷を守りたい!」思いは同じでした。
伝統的な和ハーブが一つ消えようとしている、そう気づいたのは去年でした。
五年前に仕入れ始めた頃でも、ドライハーブとして扱っている問屋さんは一件のみ。
そして、去年ついに問屋さんから「取扱終了」の連絡。
どうしよう。
当時から、和薄荷のお茶は大人気でリピータも多かったし、絶対に無くしたくない!
和薄荷はジャパニーズミントとも呼ばれて、ペパーミント、スペアミントなどにならぶ個性的なミントの一つ。
特徴は圧倒的なスース―感(メントール含有量)で、お湯を注げば目が開けられないくらいにスース―する。
卸業者を探せど探せど見つからない。
ハッカ油として販売しているところはあるが、お茶の原料として販売してるところは見つからない。
どうやら、北海道滝上町に農家さんがあるらしいことは分かった。
唯一、ほうじ茶に薄荷をブレンドしている商品を発見!
即、Amazonでポチっ!!届いた商品に載ってる番号に即電話!
ぷるるる・・ぷるるる・・・ガチャ
元気な声のおじいちゃんが出てくれた
「福岡でハーブティー屋をやってるものなんですけど・・・」
カクカクしかじかで、、、
「わしゃあ、末期のガンでなぁ、余命何年もないんですわ」
いきなり、おじいちゃんの体調の話からはじまった。
先月、ガンを宣告され自分でもビックリしたこと。
自分が育てている品種は世界一の薄荷だということ。
薄荷の仕事を息子さんに引き継いでる最中だということ。
滝上町の薄荷農家は十数件しかないこと。
15分程、おじいちゃんの貴重な話を聞いた後。
僕は、「福岡で和薄荷が凄く好評です」と伝え、和薄荷のみの原料を分けてほしいとお願いした。
「いいですよ、うちは何でもありますから、無いのはお金だけですわ!がははっー」と豪快に笑うおじいちゃん。
胸が張り裂けそうになった。
廃業していくということは、端的に言えば「儲からない商売」であるということ。
伝統を守る使命感や、誇りをもって作ってきたであろう和薄荷。
FlowerTeaには200種類ほどのハーブが世界中からハーブが届くのに、
日本から日本の固有種が届かなくなるかもしれない。
そんなことあっていいわけない、日本から世界に発信できるハーブなのに!
「和薄荷を守りたい!」
そして、出会った薄荷コーデの二人。
つづく・・・
和薄荷のはなし②
「岡山にも薄荷があったのか!」
というか岡山県から全国に広がったのか。
たまたまSNSでみつけたイベント、
岡山県総社で行われるという「備中薄荷物語」
どうやら薄荷栽培を復活させようというプロジェクトがあるらしい。
早速、メッセージを送り、店を閉め、いざ岡山へ!
桃太郎気分で車を走らせた
「新しい仕入れ先が見つかるかもしれない!」
最初はそんな気持ちだった。
向かった会場は岡山県総社にある「旧堀和平邸」
築180年の立派でカッコイイお屋敷で、
日替カフェやイベントスペースとして利用されている。
お出迎えしてくれたのは、素敵ハッカコーディネートの「ゆきちゃん」
とっても気さくでお上品、そして、できる女オーラが溢れ出ている。
軽く挨拶を済ませ、
NPO法人 総社商店街筋の古民家を活用する会
理事長の「ゆきちゃん」に、お屋敷を案内して頂きました。
ゆきちゃんは、廃墟になりかけていた「旧堀和平邸」を守ろうと立ち上がり、
まずは掃除、とにかく掃除、と10年続けた結果、
お役所側からNPOを立ち上げ屋敷を守ってくれと頼まれた、とっても凄い女性です。
そして何故、ゆきちゃん達がハッカを復活させようとしているかというと。
・堀和平邸の中庭で薄荷の栽培が行われていたこと
・総社出身の秋山熊太郎が本格的に薄荷栽培をはじめた
・総社から全国に薄荷産業が広がったこと
などの理由と、町おこしも兼ねて、
3年前「堀家ハッカ・プロジェクト」を始動されたそうです。
プロジェクトに関わっている人たちの姿や、お話を聞いてるうちに、
なんだか、うずうず、もぞもぞ、心の奥から湧いてきた。
「力になりたい!」
何か自分にできることはないだろうか?
原料の仕入れしか考えてなかった自分が恥ずかしくなった。
今の自分に何ができるだろうか?
あれこれ、考えてるうちに
運命の歯車がぐるんぐるん回り始めた!
神様っているんだなぁ・・・
と、思ったここ3週間。
つづく
NPO法人 総社商店街筋の古民家を活用する会
http://www.soja-kominka.com
和薄荷の話③
「和薄荷と蒸留器」
和薄荷と蒸留器は切っても切れない関係。
歴史資料によると、むかーしむかし、植物精油を採取する方法が無いころ、
山菜や薬草として利用されていたという和薄荷(当時は波加)。
1817年に現岡山県総社市の秋山熊太郎が産業化を行い、薬種商や菓子商で利益を上げたとあり、
彼は蒸留法を心得ていたと予想される。
明治に入ると、海外からの蒸留技術も入り、薄荷栽培も中部から北海道に広がったそうな。
ざっくり言えばこんな感じで、和薄荷は精油(L-メントール)を採取するために栽培が始まったらしい。
その精油を利用して様々な加工品がつくられる、食品はもちろん、酒類、化粧品、医薬品など、
生活を見渡せばどこかで必ずお世話になってるメントール。
なのに何故、生産者が減っているのか?
まだまだ、調査中の段階ですが、大きな要因はインド産の和薄荷が入ってきてるということ。
現在でも産業として精油をつくっている北海道でも、北見地区はインド産を使っていて、
薄荷農家はゼロ。滝上地区でも、薄荷農家は十数件。
そして、ハーブティーの問屋さんに調査してもらったところ、
現在では生産した和薄荷は全て精油にまわすとのこと。
人手不足でお茶に加工する手間がとれない。ということらしい。
精油にした方が利益率が高いのか、安定した収益がでるのか、
まだちょっと分からないのですが。とにかく、まじで和薄荷茶を作ってるところは無い!
個人レベルの生産では、チラホラみかけるようになったが、和薄荷茶を㎏単位で取引できる生産者は皆無。
「これはマジでどうにかしないと!」
そう、燃え上がる数か月前。
2018年の年末、お客さんから
「今度、蒸留器屋さんの見学に一緒行きませんか?」と、お誘いを受ける。
そのときは、単純に機械好きな僕は「ぜひ!」と答えたわけですが、
3/8に岡山県の薄荷プロジェクトと出会い、3/15に蒸留器メーカーの「黄河」の川波さんと出会い、
なんだか運命的だわ✨
実は、さらに!「え!?神様って本当にいるんだ!」と思ってしまった!!
3/6に届いた友達からのメール✉
つづく
素敵蒸留器屋さん「黄河」↓
https://purestiller.jp/
和薄荷の話④
「運命のメール」
岡山県に旅立つ2日前、糸島シェアハウスのコーイチ君からメールが届いた。
「ハーブ栽培を始める企画があって、農業指導に来れない?」
なんとなく、ピンときて5秒で返信。
「いきまーす!」
詳しく内容を聞いてみると、
地方の町おこしの一環で、ハーブ栽培を始めようというプロジェクトらしい。
高齢化が進み、「芋とか南瓜とか重たいよね。」「耕作放棄地どうにかしたいよね」
というようなとこから、「ハーブがいんじゃない?ハーブ女子いいよねー!」
という感じで盛り上がり、「でも、どんなハーブ育てればいいのか?」
そして、僕のところに依頼メールが届く。
「これから流行そうなハーブとかある?」
「そりゃーもう、和薄荷でしょ!」
そして、和薄荷の現状と、和薄荷への熱い思いを伝えた。
・・・・・
・・・・・
結果3/28現在、10数件の農家さんに和薄荷栽培を始めてもらえることになりました!
細かい内容を伝えたいところではありますが、ブランディングの都合上、割愛。
「町おこし」つまり、町にとって利益を出さないと意味はない。
葉っぱのおじさんがいって、「和薄荷いいよー」といって、植えてもらうだけじゃ意味はない。
予算をうまいこと変換して、自分の収益にするのは案外簡単ですが、そんなショボい生き方したくない。
栽培→加工→商品化→ブランド化→収益をあげる。
そこまでいって、ミッションコンプリート!
という覚悟で、今回の依頼を引き受けました。
(返信は5秒でしたけど)
具体的な地名は言えませんが、段々畑が美しく、船の汽笛が心地良い場所です。
現地に行って、印象的だったことは、とにかく畑が美しい!本当に美しい!
箱庭のような畑がたくさんあって、将来的にはこの畑がきっと観光資源になる!
そして、その畑を維持しているのは、高齢のお母さんやお父さん。。。。。。。
そんな、お母さんお父さんと畑仕事したことが、本当に楽しかった!楽しかった!!
帰るときはには、車の荷台にキャベツ4玉と玉ねぎいっぱいとネギと大根。
右のポッケに茹で卵が二つ、左のポッケにラッキョの瓶。
胃袋におはぎが二つとタクアンとお茶菓子。そして思い出いっぱい!
「力になりたい!自分にできることは何だろうか?」
つづく
和薄荷の話⑤
「わたしが売ります!」
和薄荷の栽培を進めたところで、売れなければ当然意味はない。
これまたちょうど、4月に百貨店での催事が決まっていたので、新しいパッケージを開発してたのです。
栽培を始める側からすると、栽培した先にどんな形で利益がでるのか?が気になるところ。
・フレッシュで飲食店に卸す
・乾燥させハーブティーとして販売
・ハーブ原料として問屋に卸す
・精油にして販売&ワークショップ
・苗として販売
etc
と、いろいろ販売ルートは考えられ、規模によって複合的な販売になっていくはず。
そのなかで、利益率が高く、販路が広いのは「ハーブティーとして販売」
特別な機材や製造許可も必要なく、加工も簡単。
乾燥させてしまえば数年は保管できる。
規格がないので、廃棄ロスが無い。
軽量なので、高齢者でも作業できる。
と、いいこと尽くしなのですが。
「実際、100g収穫したとして、利益はいくら?」
うーん、うーん。
乾燥させると、10~12%の重量になるとして・・・
えーと、乾燥葉15g入りを1000円で販売できたとして・・・
うーんと、ええーと・・・
「まずは、わたしが売ってきます!」
4/24~4/30 福岡天神 岩田屋新館 たぶん6F
つづく
和薄荷の話⑥
「世界に誇れ!日本の色と香り」
和薄荷茶の最大の特徴は、比類無き清涼感。
お湯を注いだ途端、目が開けられないくらいのスース―感が漂います。
世界一メントールの含有量が多いミントなのです。
飲めば、そりゃーもう、胃の奥から吐息の端までスース―するっすよ!
そして、もう一つ美しいグリーンが出せるということ。
青系で、美味しくて美しいブレンドティーは結構難しい。
ミント系はアントシアニンが含まれているので、マローブルーやバタフライピーとの相性が良い。
その中でも、和薄荷は抜群に発色が良い!(なぜかは知らんけど)
今回開発したのは、和薄荷とバタフライピーのお茶。かなり繊細な比率で、
少しズレると美しいグリーンはでません。一杯分ずつブレンドしていく必要があり、
電子天秤で計量し、手作業でバタフライピーの質の良い部分を選別していきます。
そして、いつでも誰でも楽しめるようティーバッグ式にしました。
さらに、薄荷茶は砂糖を入れると劇的に美味しくなるのでキビ糖を付属。
一煎目は清涼感を楽しみ、二煎目は甘さを楽しむ。その間、色んなグリーンを楽しめます。
庭を整え、花を活け、香を焚き、茶を淹れ、おもてなす。「日本人らしさ」を表現したハーブティーです。
宝石のように美しく、宝石のように大事にしたい、そんな思いから「翡翠薄荷」と名付けました。
FlowerTea ポップアップショップで販売します↓
https://www.facebook.com/events/420060618754404/
とにかく、和薄荷のお茶を飲んでもらいたい。
和薄荷の話⑦
「いっちょ売ってみっか!」
農家さんから、先日植え付けた和薄荷の苗の写真が送られてきました。
元気に育ってるみたいで感無量!新しい土地に、和薄荷が根付き始めたことにホッと一安心。
と、同時に農家さんが今後、安心して栽培していける道筋をつくらないといけない!
というプレッシャーが押し寄せてくる。
「収穫量に対し、どのくらいの利益をだせるのか?」
この答えをだすために、「まずは私が売ってきます!」と言ったものの、行程は容易ではない。
FlowerTea(小売業)側からすれば、原料はできるだけ安く仕入れたい。
しかし、原料価格を下げようとすれば、生産者の利益は減っていく。
生産者の利益を優先して価格設定をしていくと、消費者に届くときには、かなり高額になってしまう。
現時点ではかなり希少なので、高額商品としてのポジションも考えられる。
ただ、将来性を考えると高額ポジションは難しいと思われる。
和薄荷は、比較的栽培は簡単なので、流行れば栽培農家は一気に増えると予想されるからです。
もちろん、栽培法でメントール含有量や風味は変わりますが、
手摘みの玉露のように、手間をかけて価値を上げられるお茶ではない。
今は単純に、栽培農家が少ないから高額ポジションを狙えるというだけ。
そして、いま高額ポジションで価格設定をして、「この収穫量で、これだけの利益がでます!」と
生産者を鼓舞したところで、将来性は感じられない。
そんな葛藤のなか設定した、12g入り¥1200円。
これが適正価格かどうか、今回の催事で判断したいと思います。
そして、お客様の声をフィードバックし、今後の薄荷プロジェクトに生かしたいと思います。
ま、とにかく売ってみます!
FlowerTeaポップアップショップ
4/24~4/30 福岡市天神 岩田屋新館6F
つづく
和薄荷の話⑧
「知ってほしい、飲んでほしい」
先日、薄荷の苗を植えてもらったときの情報が公開されました!
まだまだ、ぜーんぜん知られていない和薄荷。
とにかく、まずは知ってもらうこと!
SNS、パブリシティ、催事出店、etc
情報を発信しまくって、お茶を売りまくって、和薄荷の存在と美味しさを伝えていきたいと思います!
FlowerTeaポップアップショップは4/30まで。
岩田屋新館 6F